ネットワーク管理者の評価 - ネットワーク管理者というお仕事

ネットワーク管理者というお仕事

元ネットワーク管理者のブログ。最初はネットワーク管理を中心に書いていましたが、最近はユーザ寄りのお話が多めです

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いつも読ませて頂いているブログにこんな記事が掲載されていた。

「ハドソン川の奇跡」の機長が、世界中で英雄扱いされているのを見ると。
本質的に極めて「英雄的」な行為を、人目に触れないところで地味に行っている「報われないかもしれない」人たちの存在に、想いを馳せる。
「報われないかもしれない」という言い方は、正しくないかもしれないが。
少なくとも彼らの顔写真が、全国放送の6時のニュースででかでかと放映されることはないだろう。

そして、金融業界でのコントローラーのような人たちは。
ここでいうところの「報われないかもしれない」人たち、あるいはあまり好きな言い方ではないが、「縁の下の力持ち」で。
彼らがどんなに頑張ったとしても、金融史に彼らの名前が残ることは、まずないだろう。
彼らを見下して、そう言うわけではなく。
本当は、彼らは「危機を事前に防いだ(かもしれない)人たち」で、本来であれば彼らが真の英雄なのかもしれないのに。
人間の認識能力には、限界があって。
フェアな形で、貢献を認識できないこともある。


引用元:「ハドソン川の奇跡」と金融危機 - 紺ガエルとの生活

インフラ関連の仕事をしている方の多くはこの話に共感するのではなかろうか。

何も問題が起きない事。それがインフラを管理する者の一つの使命であるにも関わらず、問題が起きない事に対する周囲の評価は低い。さもすればトラブルシューティングに駆け回る管理者が重用され、日ごろから地道な改善を重ねトラブル発生率が減ったインフラの管理者が解雇される事さえある。

同じように、「やらない」、「様子を見る」という判断も評価されにくい。
IT業界には日々新たな商品や規格が登場してくる。ネットワーク管理者はその情報を日頃からチェックし導入するべきか判断していく。当然、すべてが有益な物ばかりではない。例え他社で大きな導入効果を挙げた製品であっても、自社で導入した場合に同様の成果が挙げられるとは限らない。ネットワーク管理者は新たな製品やシステムの導入検討に多くの時間を割いているが、実際導入まで至るケースはその内の極僅かだ。
だが、やらないという判断はほとんど評価される事がない。大抵、評価されるのは導入した時だ。酷い時にはサボタージュと採られる事もある。色々と理由を付けて仕事をしない人がいるのは事実だが、一方で自分の仕事を作る為に無駄なルールや機器を導入する人がいるのも事実だ。

こうやって書くのも、昔、やるやらないの判断で苦い経験をした事があるからだ。
私は突然会議室に呼ばれとあるプロジェクトをやる事になった(セキュリティに関する事なので詳しくは書けません)。そのプロジェクトでは既にやることが決まっていたが、検討すれば検討するほど現状では問題が大きい事が判明した。それをやる為にはその前にやらねばならない事があり、それをやらないことには無駄な投資になる事は明らかだった。そして、それは別のプロジェクトで平行して行なわれておりまずはそちらに注力すべきだという話で報告を何度も行ない上司も含め関係者の賛同も得ていたのだが、その時の情報システム部門のトップのお言葉は「じゃあこのプロジェクトはどうするの?」というお言葉だった。
当時は、会社では大きな組織変更があり成果物が求められていた。そこで発足したのがこのプロジェクト。やらないという判断は評価されないばかりか評価を落とす事となる。行くも地獄、戻るも地獄。。迷った挙句当時私が出した結論は試験的に導入。これが私がネットワーク管理者として行なった仕事の中で最も大きな誤りとなった。皮肉にも自分の評価は全く下がらないばかりか昇格試験という事になってしまったが。。。

昨年の年末に「予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」」という本を読んだが、人に対する評価というものも不合理な事が多い(勿論、私の力不足もあるが)。ネットワーク管理者が属する間接部門のように成果が直接数値として出てこない部門や数字を出せたとしても自分達で見繕える部門は特にそうだ。きっと公務員もそうだろう。
恐らく大抵の人はそういった不合理な評価にぶつかった時、それは誤りだと反発したり不満を漏らす。しかし、時間が経つにつれ人々はその評価ルールに基づいて行動するようになる。そして、時にそれは不正へと繋がる。
なお、先に挙げた「予想通りに不合理」では、人間がこのような場面に直面した時に不正直になりえる事を自覚するという事や、いつどこで間違った判断をするかという事を理解しておく事が大事だというような事が書かれていた。頭では分かってはいても・・・という気持ちもあるが一応心にとどめておこうと思う。


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